甲状腺機能低下症について - 院長ブログ

2025年3月24日医療について

2025年3月、歌手のいしだあゆみさんが76歳で亡くなられました。報道によると、死因は甲状腺機能低下症だったとのことです。皆さんは、この病気についてご存じでしょうか?

甲状腺とは?

甲状腺はのど仏のすぐ下にある小さな臓器で、身体の新陳代謝を調整する甲状腺ホルモンを分泌しています。
   •    甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
 → 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、新陳代謝が活発になり、痩せる・体温上昇・発汗が増える・動悸がする などの症状が出ます。
   •    甲状腺機能低下症(橋本病など)
 → 逆にホルモンが不足すると、新陳代謝が低下し、体重増加・体温低下・寒がり・むくみ・疲れやすさ などがみられます。著しい高コレステロール血症を呈することもあります。

甲状腺機能低下症の診断・治療

この病気は、血液検査で診断できます。典型的な症状(だるさ・むくみ・寒がりなど)で受診される方もいますが、「何となく元気が出ない」「疲れやすい」 といった漠然とした訴えから見つかることの方が多い印象です。

治療方法:
   •    甲状腺機能亢進症 → 甲状腺ホルモンの過剰な働きを抑える薬を使用
   •    甲状腺機能低下症 → 不足した甲状腺ホルモンを補う薬(レボチロキシン)を服用

どちらの病気も、治療開始後は定期的に血液検査を行い、薬の量を適切に調整していきます。

甲状腺機能低下症は命に関わるのか?

一般的に、適切に治療されていれば甲状腺機能低下症そのもので命に関わることはほとんどありません。 しかし、以下のような場合には注意が必要です。
   •    治療が不十分 または 未診断 の場合
   •    高齢で持病がある 場合(心疾患・糖尿病・腎疾患など)
   •    症状が進行しても気づかれにくい ケース

特に、甲状腺ホルモンの不足が重症化すると「粘液水腫昏睡(myxedema coma)」という危険な状態に陥ることもあり、適切な診断と治療が重要です。

甲状腺の病気が気になる方へ

当院では、甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症の診断および治療を行っています。
「最近、疲れやすい」「むくみが気になる」「体温が低い気がする」など、気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。