高血圧はなぜ治療する必要があるのでしょうか? それを説明する前に血圧の数字について説明します。血圧が100と言いますのは水銀を100㎜、つまり10㎝持ち上げる圧力のことで、水銀の比重は水の13.6倍ありますから、水であれば136㎝持ち上げる圧力で動脈の中を血液が流れているという事を表しています。血圧が150であれば水を204㎝持ち上げる圧力となります。
この強い圧力で血液が流れ続けると、血管は肌と同じように弾性線維できているので小さな傷を生じてしまいます。生体には修復機能がありますから傷を治すのですが、治っては傷ができるを繰り返すと、血管の中は凸凹になって動脈硬化病巣になってしまいます。そこが詰まってしまうと脳梗塞、心筋梗塞、慢性腎臓病、脳血管性認知症などを起こし、破綻すると脳出血を起こします。そうならないためにガイドラインに沿って血圧を下げ、これらの疾患を予防をするのが血圧治療の目的です。
血圧は季節によって変動するのですが、秋から冬にかけては寒くなり体温を逃がさないために体表血管が収縮し、その結果血圧が上昇する傾向があります。血圧の上昇に伴い脳血管疾患・心疾患死は増えてしまいます(図)。高血圧に関連する疾患死を減らすために、血圧が上昇しがちな冬こそ血圧をガイドラインに則ってしっかりと管理することがとても大切だとお分かりいただけましたでしょうか。
冬こそ気をつけよう血圧管理 - 院長ブログ
2024年12月23日医療について