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南圭会

「慢性肝炎の治療の展望」
−ウイルスとアルコール−

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平成20年3月11日(火)

 NTT西日本東海病院 院長 塚田勝比古先生
 始めに
慢性肝疾患の治療として、ウイルス性慢性肝炎の治療成績は向上しています、また薬害によるC型慢性肝炎の訴訟は、原告団の勝訴により一定の結論を得ました、同時にウイルス性慢性肝炎の早期診断、進展防止のための幾つかの行政による施策が提示されています、今回それらの施策について述べた.また慢性肝疾患の他の原因であるアルコール性肝疾患の県下での取り組みについて述べた。

1、 C型慢性肝炎
  ウイルス性慢性肝炎の治療とくにC型慢性肝炎のインターフェロン治療はペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の導入により著しく進歩しわが国に多い高ウイルス量で難治性のグループ1で約50%の治癒が期待でき、それ以外では90%以上の著功を得る
事ができるのが現状です。一方その限界としてわが国に多い高齢者を含めた、慢性C型肝炎におけるインターフェロン無効例、非適応例、非投与例などに対して、肝疾患の増悪、がん発生の予防のためにより有効な抗ウイルス剤の開発の現状と供に、少量、長期のインターフェロン投与法などを含め積極的肝庇護療法について述べた。

2、 B型慢性肝炎
 近年、核酸アナログ製剤による抗ウイルス剤の治療が進歩し、その使用方法として、HBV感染症の自然経過の中でどの時期に投与を開始するべきかについて述べた、核酸アナログ製剤はウイルス除法で無く増殖抑制のため長期投与の必要性と、耐性株の出現が問題
であり、現在は最も耐性株の出現が無いエンテカビルが第一選択の製剤である。

3、 ウイルス性慢性肝炎治療に対する施策
血液製剤の明らかな感染による肝疾患の場合の国家賠償(所謂、薬害肝炎)、ウイルス性慢性肝炎早期発見のための保健所以外での検査の無料化、また早期に根治療法のため平成20年4月1日より、C型、B型慢性肝炎に対するインターフェロン治療の医療費の補助が開始される。

4、アルコール性肝障害の治療の取り組み
 日常アルコール多飲の伴う肝障害はしばしば遭遇する疾患であるが、禁酒にて経過良好でありまた本人の疾患への自覚が乏しいため完治することなく増悪し身体的、社会的、家族的な問題を引き起こしているのが現状である、この様な疾患に早期の精神科への治療の
誘導が必要性で有り、産業医、精神科医、などの医療連携が重要であり、当地区での愛知アルコール連携医療研究会の取り組みについて述べた。