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南圭会

体内リズムと生活習慣病
 −頭のリズム、体のリズム−

東邦ガス診療所  所長  林 博史 先生
平成19年7月10日(火)
[リズムと生命] 
動物、植物そして微生物など、すべての生物が持っている生命現象の周期的な変化を生物リズムという。生物は、固体の生存,種の保存、繁栄にとって最適な、空間構造(形態と生活空間)と同時に、時間構造を選択している。これが生物リズムの本質であり、一定の時間間隔で生命現象、行動が繰り返される。生物は色々な周期を持っているが、もっとも注目すべきは、24±4時間の周期を持つサーカデイアンリズム(概日リズム)である。これは自然環境サイクルの長さに一致したリズムで、大多数の生物の基本リズムになっている。現在人の体内では300以上のリズムが証明されている。
[生物時計]
生物が体内に備えている計時機構、すなわち生物時計は視交叉上核に存在する事が明らかにされている。今や、生物時計を制御しているのは、時計遺伝子であり、これが時計蛋白の生合成を介してリズムを調整しているなどの解明が進んでいる。
[体内リズムと身体機能] 
人の自律神経は、24時間周期で規則正しく変動をしており、それに呼応して、心拍、血圧、呼吸、体温など多数の生命の基本的な機能が奇麗なリズムを刻んでいる。その他、内分泌関係では、副腎皮質ホルモン、成長ホルモンなど多数証明されている。体内リズムの調整に欠く事のできない松果体から分泌されるメラトニンは、睡眠を誘導し、休息と活動リズムの形成に大切な役割を果たしている。このホルモンはまた、免疫力を強化して感染症やがんに対する抵抗力を高め、うつ病とも関係が深い。
[体内リズムと時間医学]
体の機能に24時間周期があるため、心筋梗塞、心突然死、脳梗塞、脳出血や,胃十二指腸潰瘍、異型狭心症や夜間喘息種々の病気も、発症しやすい或いは悪化し易い時間帯のあることが知られている。体内リズムの病態生理を理解する事により、診断はより正確となり、重症度の判定、治療に対する反応性などをより的確に行なう事が出来る。これは、治療効果を上げるのみならず、薬剤の副作用を最小限に抑えるためにも大切である。
〔体内リズムを維持するための十ヶ条〕
1. 起床時間を一定時間とし朝日を浴びる
2. 夜は12時までに寝る
3. 6〜8時間は寝ること
4. 朝食をしっかり食べる
5. 1日3食を一定時間に食べる
6. 毎日20〜30分の早歩きをする
7. 1週間に1回は思い切り体を動かす
8. いろいろな人と会話,コミュニケーションを保つ
9. 毎日手指を使う(書字,楽器など)
10. 就寝前のアルコール,コーヒー,刺激の強いテレビや書物を避ける

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