戻る

はざま医院かわら版  
平成
11615日

日本人のかかる慢性疾患のうち,最も多いといわれているのは.高血圧です.昭和40年といえば,随分昔のように思われるかもしれませんが,当時は日本人4人のうち1人は脳卒中で亡くなっており,死因の第一位を占めていました.その後,降圧剤*の進歩により脳卒中の大きな原因の一つであった高血圧の管理がうまく行くようになり,死亡率は低下に転じ,現在は第3位となりました.しかし死亡率は低下したものの,脳卒中になる方の数は変わっていません.その理由ですが,高血圧の治療が進歩して重症脳卒中になる人は減ったが,高血圧以外の脳卒中の原因,例えば食生活の変化により高脂血症や糖尿病が増加したことなどがあげられています.ですから脳卒中にならないようにするためには,これらの危険因子を減らす努力を,バランスよく行ってゆくことが大切です.

脳卒中の種類と症状

一概に脳卒中といっても次のような種類に分けられます.
1)アテローム血栓性梗塞
首や頭の中にある太い動脈にできた動脈硬化病巣が原因でその部分で詰まってしまったり,一部分がはがれて血流にのって末梢の血管に詰まることによって起きる脳梗塞.症状の特徴は,突然に麻痺やしびれが広い範囲に起きる

2)ラクナ梗塞
脳の深いところにある細い動脈が詰まって起きる.詰まってもはっきりした症状を感じないか,わずかな症状があるだけで,それもやがてわからなくなって行くので,気づかれないことが多い.しかし将来の大きな脳梗塞の前触れであったり,痴呆になって行く危険と関係が深いといわれている.

3)心源性塞栓症
心臓の中に血の固まり(血栓と呼ぶ)ができて,それがはがれて脳の血管に詰まっていできる脳梗塞.症状の特徴は,アテローム血栓性梗塞と同じで,
突然に麻痺やしびれが広い範囲に起きる

4)脳出血

長年にわたる高血圧などで,脳の細小動脈壁に類線維性壊死や微小脳動脈瘤が起こり,その壁が破ぶれ脳内に出血するのが脳出血です.破れる血管の部位と出血の広さによって,ラクナ梗塞からアテローム血栓性梗塞の症状に類似した様々な症状を呈します.もちろん血圧が高い人ほど大きな出血を起こし,著しい後遺症を残します.昭和40年頃脳卒中による死亡率が高かったのは,高血圧の治療を十分に行えないために,この脳出血が多かったためといわれています.

5)くも膜下出血

脳の表面を覆うクモ膜下腔に出血を起こしたもの.動脈にできた瘤(こぶ)の破裂によるものが最も多い.脳出血を起こし,これがくも膜下に流出しても起きる.麻痺ではなく突然経験したことのないような激しい頭痛で発症します.


*降圧剤…血圧を下げる薬を降圧剤(こうあつざい)と呼ぶ