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はざま医院かわら版    
平成11年1月28日号

 インフルエンザが流行しているとの情報が、新聞テレビ等で日々報道され、心配されている方も多いと思います。特に小さなお子様の脳炎・脳症、ご高齢の方の肺炎がよく取り上げられています。その辺につきまして、インフルエンザ一般の話も交え、少しお話したいと思います。

 せき、鼻水、のどの痛みなどがありますと「風邪をひいた」ってよく言います。このような風邪症候群を引き起こす病原ウィルスは200種類以上知られています。インフルエンザはせき、鼻水、のどの痛みという症状を起こすことがあるという点では、風邪症候群に含まれます。しかしほかの風邪の症状との違いについてみますと、@発熱、だるさ、節々や腰などの痛みで始まる、A人によっては、いついつの何時くらいから悪くなったと覚えているくらい始まり方が突然、Bせき、鼻水、のどの痛みなどの風邪症状はそれと同時か、遅れて出てくることが多い、といった特徴がみられます。

 昨シーズンのインフルエンザ流行時に「脳炎・脳症」で亡くなった子供が数十人に達したとの報道を記憶されている方も多いと思います。ウィルス感染が原因となり脳の浮腫(むくみ)を生じる状態を脳炎・脳症と呼び、意識がもうろうとしたり、けいれんを起こします。脳炎・脳症になりますと半数は死亡し、1/5は後遺症を残します。インフルエンザから脳炎・脳症への進展は急激に進むことがあり(半日以内)、呼びかけてももうろうとしている、けいれんを起こすような場合、入院施設と小児科専門医のいる総合病院へ緊急受診する必要があります。インフルエンザワクチンを受けた方の発症例はありません。

 高齢者の死亡例は、脳梗塞後遺症などの基礎疾患を持った方が、インフルエンザにかかり食欲不振から、脱水になり急性心不全を起こしたり、2次感染**の肺炎を起こしたりすることが原因となります。この場合@普段から水分を十分摂っておくこと、Aせきに痰が混じり出したら抗生物質を開始することなどが予防のために大切です。また呼吸回数が速く息苦しさを感じるようでしたら、総合病院を緊急受診する必要があると思います。自分では症状を適確に訴えられない超高齢者の場合は、ただ元気がない、食欲がないというような症状で、すでにこのような重症状態ということもありますので、おかしいなと思ったらご相談下さい。


*風邪症候群(かぜしょうこうぐん)

症候群とは様々な原因で起きる似た症状の疾患を一まとめにしたもの。したがって風邪症候群とは200種類以上の病原ウィルスによって起きるせき、鼻水、のどの痛みなどの症状を訴える疾患を、一まとめにして呼んだもの。

**2次感染(2じかんせん)

鼻やのどには元々常在菌という細菌が住んでいるが、健康な状態では鼻やのどの粘膜下には侵入できない。ところがウィルス感染が起きると(これが1次感染に当たる)健康な粘膜の一部が破壊され、常在菌の侵入が始まる。これが2次感染である。ウィルスには抗生物質は無効であるが、細菌感染には有効。