EBM −Evidence based medicine−

学問は快楽になりえないのでしょうか.そんなことは決してありませんよね.私にとってEBMは医学情報収集と患者さまとの楽しいコミュニケーションを形成する仕事上必要な手法の一つですが,その作業は大変たのしい趣味的なものになっています.

医学部を卒業して以来,いや学生のころから医学の勉強は講義を聴くか本を読むか,あるいは出かけることの出来た学会の講演で拝聴すると言う形式でした.「聞いたり本で読んだりできた範囲」での知識は授かるのですが,あることを知りたいと思ったとき,先輩医師に聞いたり講演を拝聴したり図書館や書店で本を探すことができた範囲以外では,情報収集は困難でした.

もちろんこのような情報収集法でも結構広い範囲に渡って情報収集することはできるのですが,ひとたび専門分野を離れると,どのような書を紐解けば知りたいことを知ることができるのか,知りたいことに対する講演会もいつどこであるのか,簡単には知ることはできません.そしてハードルの高さから調べるのをあきらめることもしばしばでした.そんな中,開業して3年目にEBMと出会いました.

EBMでは網羅的情報収集はお手の物です.ここで網羅的とは,可能ことであれば英語だけではなく,それこそ中国語もロシア語もすべての言語の情報源に当たると言うことを意味しています.しかし一般的には英語の情報源以外の言語まで情報収集することは,一個人としては困難です.実はEBMではこのようなことも考慮されており,実際に網羅的情報収集で汎用される"The Cochrane Library"では英語以外の言語の情報も網羅するよう考慮して作成されているそうです.
2002年11月,金沢で行われたEBMワークショップでご一緒させていただいた方々と
考えてみれば,実は大変すばらしい研究で何としてもアクセスすべきものの中で,英語以外の言語で発表されてしまったために埋もれてしまっている研究もあるかもしれません.しかし現在,質の高い研究は今や研究者は皆こぞって英語論文として発表している訳で,実際の情報収集に当たって,情報収集の労力と得られる結果のバランスを考えた場合,英語情報源にのみ当たるのが一番効率が良いのではないかと思われます.正に英語は現在の学問の言語,あるいはビジネスの言語になっている訳です.

休日にEBMをしてるか?と言われれば,普通はしてません ^^) でも昼休みにはよくやっています.それで色んなことが根拠を持って分かると,すごくすっきりします.
さて,一生懸命EBMを続けているうちに,2006年1月に第9回EBMワークショップを名古屋で開催することになり,そのお世話をさせていただくことになりました.その顛末はこちらをご覧ください.