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はざまフォーラム

「日常診療で遭遇する様々な皮膚科疾患について」
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刈谷総合病院皮膚科医長・藤田保健衛生大学医学部皮膚科学客員助教授
鈴木加余子先生

1.薬疹 7.帯状疱疹
2.アトピー性皮膚炎 8.褥瘡
3.慢性蕁麻疹 9.肝疾患と皮膚疾患
4.抗生物質を使用する皮膚疾患 10.口角炎
5.白癬症 11.熱傷
6.水イボ

1.薬疹

アレルギー感作が成立するには最低4日は必要と言われている。したがって初めて服用した薬剤では薬疹は生じない。発熱性疾患(主にカゼなどのウィルス感染症)にたいして処方された薬剤で薬疹が出たと言って患者さんがみえても、先行する発熱性疾患そのものによって発症した発疹(麻疹にみられる典型的発疹など)や、その他の感染症でみられる非定型発疹などの可能性も十分ある

どんな薬剤でも薬疹は起きうるので、「カゼ薬を飲んでその中の抗生物質で薬疹が出た」と言って患者さんがみえても、同時に処方されていた消炎解熱鎮痛剤、胃粘膜保護剤、去痰剤どれもが原因と言うことがありえる。

2.アトピー性皮膚炎

軟膏同士を混合して使用するミックス剤としては,Dr鈴木はヒルドイドソフトとリドメックス軟膏を1対1混合のみを使用している.ミックス剤はカップに入れて保存するが,チューブで保存できる一般製剤に較べて,2つ以上の製剤を混合することにより各成分が変性する可能性があり、また患者が使用する際には容器に直接ゆびを入れて軟膏を取り出すため不潔になり易かったり,半年置いておくと分離したりするためあまり使っていない.
皮疹の性状による各種軟膏の使い分けであるが
  1. カサカサしただけの部位には保湿剤(ケラチナミンあるいはヒルドイド),あるいは非ステロイド系消炎鎮痛剤軟膏を使用する
  2. さらに赤く炎症性変化を伴う部位にはステロイド軟膏(部位によって強さを使い分ける).
  3. ステロイド軟膏は皮膚表面の「ガサガサ」がなくまるまで外用する
  4. ステロイド軟膏で難治な部分にはプロトピックを使用する
  5. 保湿剤としてはケラチナミンが刺激感がなくて良い.ヒルドイドソフトも良い.ワセリンは「プロペト」と言う商品が評判が良い
  6. アンダームでの接触性皮膚炎の報告が多いので,アンダームの使用は控えると言う方針を打ち出している医療機関も多いが,実際には代用薬としてのコンベックはアンダームに較べて抗炎症効果は弱いので,患者によってはアンダームを好む方もみえる.
  7. アンダームで接触性皮膚炎を起こした場合には,市販薬にもアンダームの成分である「ブフェキサマック」が含有されいるものが多いので,それらも使用しないよう説明する
  8. 内服の薬剤としては抗アレルギー剤を使用する.投与期間は限定せず必要であればいつまででも継続する
  9. アレルギー検査を行うのであれば卵・牛乳・大豆を行っている.class3以上ある場合アレルギーの可能性があると考え,反応陽性の食品を食べた後の反応(アトピー湿疹の悪化など)を尋ねる
  10. ダニに対してアレルギー陽性の場合は掃除など生活環境の整理を説明する
  11. 入浴ではデューエなど洗浄剤のサンプルを提供したりして改善を図れないか試す

3.慢性蕁麻疹

  1. 検査として総IgE値とIgE RASTのアニサキスを調べる
  2. アニサキスへのIgE抗体が陽性の場合,魚を食べることを控えていただくと消失することがある
  3. 蛋白分画を検査し,蕁麻疹様血管炎を除外する

4.抗生物質を使用する皮膚疾患

にきび   洗顔料や化粧品はアクセーヌやノブなどのニキビ肌を対象としたものを使用するよう指導する
とびひ 内服抗生剤としてはセフェム系を選択しているが,効果ないときは耐性菌を考えMINOを使用している.外用剤としてはエキザルベ(少し刺激がある)を良く使用する

5.白癬症(水虫)

検鏡を行っても白癬菌が不明な場合は,吸湿性で湿潤が良く乾くテラジアパスタを使用し,びらん性病変を治療してから抗白癬菌剤を使用しても良い.白癬病変であっても、テラジアパスタを使用すると乾燥するため、ある程度軽快する(治癒はしない)

6.水イボ

私の場合,まずお母さんに下記の方法を説明します
  1. 今から抑えつけて無理矢理にでも除去してもよいです.除去は痛いので、お子さんはとても苦痛だし,病院嫌いになるかも知れません.(数が多い場合には)1回での除去は難しいので,本日は無理矢理除去しても次回は受診をいやがると思います
  2. 今日は局所麻酔のついているテープを渡しますから,明日以降にそのテープを5mm角くらいに切って、1つ1つの水いぼに貼付して,2時間後くらいに受診してください.その折に除去します.この方法だと除去時の痛みが緩和されますが,これでも痛がるお子さんもいます
  3. 3年くらいで自然消退すると言われているので,このまま放置していてもいずれ消えますが,消えるまでの間は1カ月のことも3年のこともあり,その間増加すると思います
このような3つの対応法があることをお話し,治療方針をお母さんと話し合って決めます.切除法としてはピンセットで摘み取り,そのあとゲンタシン軟膏を塗布しガーゼで押さえておく.入浴は当日から許可する

7.帯状疱疹

  1. 一般的治療としてはバルトレックスの内服を行う.医療保険では1週間までの投与が認められている.外用剤はアラセナA軟膏またはバラマイ軟膏を使用する.
    • 私は皮疹が沢山でていて一回の処置にアラセナA軟膏が1本以上必要となる場合にはバラマイ軟膏を処方して、ディスポの舌圧子でガーゼにのばして皮疹部に貼付している
    • 愛知県はまだ保険審査が緩やかなので返礼にはならないが、他県ではバルトレックスやゾビラックスの全身投与とアラセナA軟膏やゾビラックス軟膏の外用との併用は切られるそうです
  2. 疼痛が強く点滴を希望される場合は,ゾビラックスの点滴となるが,この場合1日3回点滴しなくてはいけないので,入院が必要となる.効果はバルトレックスの内服と同じくらいであるので,バルトレックスの内服でも同等と言えるが,帯状疱疹後神経痛が残った場合,「点滴をしてもらえなかったら疼痛が残った」と誤解される患者さんがいるので,点滴と言う選択肢も説明をしておく
  3. アラセナAの点滴は1日1回で良いが,効果の点でバルトレックス内服やゾビラックス点滴に劣る印象である

8.褥瘡

体位変換やベッドの選択などの看護師による患者ケアが決め手となる

9.肝疾患と皮膚疾患

  1. C型肝炎でで口唇が荒れている場合には単なる口唇炎ではなく,口唇の扁平苔癬であることがある.この場合リドメックス軟膏などステロイド軟膏にて対応する
  2. 皮膚掻痒症を起こすことがある

10.口角炎

一般的にはロコイドやキンダベートなどのステロイド剤外用で十分だが,繰り返す場合カンジダ症のことがあり,検鏡しそのように診断された場合抗真菌剤を使用する

11.熱傷

  1. 受傷初日から3日目くらいまでの間,外見が正常もしくはやや赤いくらいでも,リンデロンVG軟膏を外用すると,紅斑から水泡への移行を防ぐ印象がある
  2. そう処置にはwet dressingがお薦め.
  3. 2週間で治れば大体ケロイドは残らない
  4. それ以上掛かるようであるとケロイド残る可能性がある

12.汗疹(あせも)

私は汗疹には、ステロイド剤を処方しています。幼少児ならロコイドクリーム程度を、大人ならリンデロンVGクリームにしています。汗疹は通常涼しくしていれば1−2日で何も外用しなくても治るのですが、病院に受診するからには痒みが強かったり、治りにくいというような状況があってのことと考え、また汗疹は長引くことも考えにくいので、最初からステロイドを外用処方します。私は汗疹には、ステロイド剤を処方しています。幼少児ならロコイドクリーム程度
を、大人ならリンデロンVGクリームにしています。汗疹は通常涼しくしていれば1
−2日で何も外用しなくても治るのですが、病院に受診するからには痒みが強かった
り、治りにくいというような状況があってのことと考え、また汗疹は長引くことも考
えにくいので、最初からステロイドを外用処方します。