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水痘症(みずぼうそう)の姉に接触した10ヶ月の弟に有効な予防法はないのだろうか

この作業は,2004年11月16日に愛知県臨床疫学研究会の定例TV会議で行われました

シナリオ
11月のある日,4歳の女児が受診した.写真のように周辺の発赤を伴う小さな水泡が全身性に散在し水痘症と診断,アシクロビルによる治療を開始した.4日後に再診でいらしたおりに,フレッシュッだった発疹はエンジ色に変色し改善傾向が著明であったが,母親から次のような質問を受けた. 「10ヶ月になる弟には,水痘症ワクチンを打っておくと発症予防になるとインターネットで調べたら記載があったが,有効なのでしょうか」


姉が発症してから4日経過しているため,本日接種したのでは手遅れではないかと考えたが,果たしてどうなのだろうか?今後同様なケースに遭遇した場合,どれくらいの熱意で水痘ワクチンによる予防を推奨できるのだろうか?
作業 1 水痘症ワクチンによる予防について
Step 1 PECOの設定
P 姉が水痘症の10ヶ月の男児.接触して4日目になる
E 水痘症ワクチンを接種した場合
C しない場合と較べて
O 水痘症の予防率
Step 2 情報収集 −UpToDateを使用−
TV会議システムを利用して新城市民病院にいる名郷先生と,UpToDateの検索をしながら討論する,県立愛知病院の吉田 力先生
検索用語 varicella(水痘症の英語)で7つヒット.そのうちの一つVaricella vaccineをに入って調べたところTreatment and prevention of chickenpoxと言うテーマがあり,そこを読んだところ次のような記載があった
Step 3 批判的吟味
ここでは批判的吟味と言っても,UpToDateは厳選された2次媒体であるので,そのまま引用する
Postexposure prophylaxis
 Vaccination
The varicella vaccine has been used successfully to prevent or lessen the severity of illness in contacts after exposure [24,25]. Updated guidelines from the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) recommend vaccination postexposure, since even if the susceptible individual does not develop disease, he or she would have received protection against subsequent contact with the virus. This is in contrast to VZIG, which is active for only a short time. The vaccine should be administered within three days of exposure to chickenpox, although the period may be extended to five days [24].
  • 24 - Centers for Disease Control and Prevention. Prevention of varicella: Updated recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR Morb Mortal Wkly Rep 1999; 48 (RR-6):1.

  • 25 - Postexposure varicella vaccination in siblings of children with active varicella. Salzman MB; Garcia C. Pediatr Infect Dis J 1998 Mar;17(3):256-7.no abstract available
Step 4 患者への適応
この記載によると,家族内に水痘症患者が発生してから3日以内に水痘症ワクチンを接種すれば有効であり,最近では5日以内に拡大されてきているとのことである.とすれば,今回のケースにワクチン接種をお勧めすると良いかもしれない.ところがこれを調べている内にさらに3日が経過し,何と接触7日目になってしまった!! そこで他の予防法はないかもう少し調べてみることにした.

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