小児脂肪肝第一回目(2003年6月23日)まとめ

シナリオ
私は診療所の医師である.6月のある日いつものように夕診をしていると,小学5年生の学校検診で肥満を指摘されたという10歳の男児が受診した.小学校2年ころから太りだして,現在145.7cm,57kgとのことである.BMIを計算すると26.9になり,肥満症の基準である25を超えていたので,念のために血液検査を行ったところ

GOT 51, GPT 114, LDH 317(180〜450), γGTP 49(16〜84), T Bil 0.2, コリンエステラーゼ11668(3500〜8100), TChol 172, TG 265, HDL 46, HBsAg(-),HCVAb(-)

であった.さらに腹部エコーでも著明な脂肪肝を認めた.

自分が学校医をしている小学校でもこの子くらいの肥満児は結構見かけるのに,今まで一度も肥満の指摘をしたことはなかったのだけれど,それで良かったのかなぁと思いながらが,「どうすれば良いのか調べておきますので,2ヵ月後にまたいらして下さい」とお話して診察を終了した.
STEP 1 PECOの設定

参加者から提示されたPECOは以下のようなものであった

  1. P 小2から太り出した10歳男児
    E 肥満を改善した場合/食事運動療法
    C 改善しない場合
    O GOT,GPTが普通に戻るか
      エコーが正常化するか
      BMIが正常化するか
      成人になったときの心血管系疾患の罹患率か
      将来の心筋梗塞,脳梗塞の発生率はどのようなものか
  2. P BMI25以上の小児
    E 肝機能検査を施行する
    C 肝機能検査を施行しない
    O 脂肪肝の発見率はどうなるのか 
      将来の肝疾患,心疾患の発生率はどうなるか
      若年性突然死,データの改善
  3. P 脂肪肝が疑われる小児
    E 身長体重測定を行ってカウプ指数(W/H2×104)20以上,あるいはBMI30以上(Nelson小児科学からの10歳台の肥満の診断基準値)
    C それ以下
    O 脂肪肝の有病率
  4. P 肥満の小児
    E 肝機能検査
    C しない場合
    O 行動変容がみられるか
  5. P 脂肪肝の男児
    E 時間の経過
    C なし
    O 重大な合併症
  6. P BMI25以上の子供
    E 10年間放置
    C なし
    O GOT,GPTはどうなっているか,脂肪肝の改善,生活習慣病の発生
  7. P 脂肪肝の男児
    E いつ介入すると良いのか(小学校,中学校,高校など)
    C それ以外
    O 将来の生活習慣病の有病率
STEP 2 情報収集

実際にPubmedでclinical query でprognosisでfatty liverで年齢を0〜18yrにlimitしてみたところ334件.これに230誌に絞ると100件になる.ほとんど関係なさそうな論文になる.Reviewに絞るといくつか出てくる程度.そこで Reviewの孫引きをやっても良いのではないかと考えられた.

National Guide Line Clearing house http://www.guidelines.gov/index.aspを使ってキーワードを入れると出てくる.fatty liverで引いたらNAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)のGuide Lineのp1714にほんの少し子供の脂肪肝について出てくる.ここから孫引きしても良い.

最後に

次回7月28日は吟味する論文選びをします.各自出来る範囲で論文検索をやってみましょう

小児脂肪肝への対応(2)へ続く